農林水産消費安全技術センター
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食のサイエンス  ◆乳関連飲料(1995年1月第19号)◆

1.乳関連飲料の歴史
乳関連飲料には様々な種類がありますが、その中で世界的に古くから存在し、現在でも健康志向製品として高く評価されているものにヨーグルトがあります。
 日本でこれが目立って消費されるようになったのは、昭和28年頃からですが、それ以前、大正初期において一時的に流行したことがありました。
 日本では、はじめヨーグルトのことを「凝乳」といい、明治27年頃から一乳業者が残乳処理の一手段として、整腸剤の形で販売されたと言われています。
 また、殺菌乳酸飲料のような製品は、大正8年頃から本格的に販売されはじめ、同12年にはこの種の乳関連飲料が非常な勢いで製造販売されていました。
 その後、盛衰が激しく、一時はほとんど見られなくなり、昭和10年頃に再び販売されましたが、戦時中はほとんど姿を消しました。そして、昭和28年頃から3度目の乳関連飲料の時代が到来しました。
 乳関連飲料のうち、代表的なものに乳酸菌飲料がありますが、その酸味による爽快性、甘味及びこれに含まれる乳成分によって生ずる風味のコク、独特の旨味に特徴があり、ソフトドリンクスの一分野を築いて現在に至っています。
2.種類と分類
乳関連飲料を一般的に表現すれば、牛乳又は乳製品を主原料あるいは副原料として加工した液状製品(のり状のものを含む)を総称しますが、乳成分の量などによって乳製品とそれ以外のものに分けられています。
 すなわち、現在の関係法令や公正競争規約によると、乳成分が無脂乳固形分として3%以上含まれているものや、乳を主原料として使用したものに限り乳製品の範囲に入れています。(表1参照)
表1 乳等省令による分類
種  別 定   義 成 分 規 格 製 品 例
乳飲料
(乳製品)
生乳、牛乳もしくは特別牛乳またはこれらを原料とした食品を加工し、または主要原料とした飲料 細菌数
(標準平板培養法で1ml当たり)30,000以下
大腸菌群陰性
コーヒー乳飲料
フルーツ乳飲料
乳糖分解乳など
発酵乳
(乳製品)
乳または乳製品を乳酸菌または酵母で発酵させた糊状または液状にしたもの 無脂乳固形分8.0%以上
乳酸菌数(1ml当たり)1,000万以上
大腸菌群陰性
ヨーグルト類など
乳酸菌飲料
(一部乳製品)
乳または乳製品を乳酸菌または酵母で発酵させた糊状または液状にしたものを主原料としてこれに水を加えて薄めた飲料 無脂乳固形分
3.0%以上(乳製品)
30.0%未満(非乳製品)
乳酸菌数(1ml当たり)
1,000万以上(乳製品)
100万以上(非乳製品)
大腸菌群陰性
殺菌乳酸菌飲料
活性乳酸菌飲料など
その他類似品として、乳成分の含有率が低いものや、副原料として乳製品を使用しているものについては、単なる清涼飲料や果実飲料・炭酸飲料などの一部として取り扱われています。
3.殺菌乳酸菌飲料の製造方法
殺菌乳酸菌飲料製造工程
乳関連飲料の中で最もポピュラーな乳酸菌飲料の製造方法についてお話ししましょう。
 牛乳や脱脂乳を乳酸発酵させて得られる発酵乳は酸味が強く、乳酸発酵独特の風味を持っています。また、この発酵乳は牛乳に比べ、乳糖も少なく蛋白質も分解されていて、消化吸収されやすいものとなっています。
 さらに、乳酸による整腸効果も期待でき、健康飲料的な要素を備えています。この発酵乳に糖類などを加えて殺菌充填し、飲みやすくしたものが殺菌乳酸菌飲料です。
 殺菌乳酸菌飲料は、脱脂乳を高温短時間殺菌して冷却し、これにスターター(乳酸菌を培養したもの)を添加して発酵させます。
 乳酸酸度で2.0〜2.5%になったところで 冷却して種々の方法で熟成させ、乳酸菌飲料独特の風味を醸しださせます。
 この発酵乳にショ糖を加えます、次に原液の蛋白粒子安定化のため、均質処理を行い香料を加え加熱殺菌し、熱充填後冷却して製品とします。
4.乳糖の働き
乳関連飲料には、多かれ少なかれ乳糖(ラクトース)が含まれています。この乳糖は、各種乳酸菌の好適な栄養源となり乳酸菌の作用により乳酸に変わります。動物体では、消化管内でラクターゼという酵素により加水分解され、吸収利用されます。
 この分解は、比較的困難であり、成人になるとこのラクターゼが欠乏する(ある程度はラクターゼ活性が残っています。)ため、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロいったりする人がいます。
 また、乳糖は病原菌の基質になりにくく、これを定常的に摂取することにより、腸内微生物相に変化を与え、Lactobacillus acidophilusをはじめとする乳酸菌の生育を促進し、腸内を酸性に保ち他の菌の生育を押さえ整腸その他の効果があります。
 さらに乳糖はカルシウムの腸内吸収を促進することが知られています。
表2 乳関連飲料の糖組成(平成5年度調査) A及びBは希釈時の値
試料名 糖組成(100g当たりのg数)
果糖 ぶどう糖 しょ糖 麦芽糖 乳糖
2.34 2.47 3.76 0.52 0.22
1.78 2.73 5.21 0.00 0.21
3.04 2.54 4.11 0.00 0.45
3.93 2.91 1.68 0.00 0.43
0.84 7.03 0.00 0.20
2.80 2.88 4.36 0.43 1.42
4.96 3.10 0.22 0.00 0.21
1.52 1.18 7.53 0.00 0.21
(名古屋センター)