農林水産消費安全技術センター
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調査分析技術の情報

調査研究報告

第28号(平成16年12月)

2801  水産物の表示の疑義判別法の検討(第2報) −スズキとナイルパーチの判別− [PDF_1094kb]
 スズキとナイルパーチの種判別マーカーのSTS化を検討した。
 ランダムプライマーOPAE-07を用いたRAPD法により得られたPCR産物をクローニング、シークエンスすることにより、スズキ及びナイルパーチ特異的マーカーのSTS化を行った結果、両種を判別可能なSTS化プライマーを作成することができ、さらにマルチプレックスPCRを行うことで一度に両種の判別が可能であった。また、養殖種であるタイリクスズキに対してこれらのSTS化プライマーを適用したところ、ナイルパーチとの判別は可能であったが、スズキとの差違は見られなかった。
2802  ICP−MS元素分析による梅干し等の産地判別 [PDF_519kb]
 梅干し及び調味梅干しを対象に、原料原産地が国産のものと中国産のものを入手した。これらの仁を試料として誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)を用いた元素分析を行い、指標となりうる7元素の含有量から、原材料梅の産地判別が可能であるかを検討した。
 その結果、88Sr及び208Pbの2元素において、国産と中国産の含有量(n=68)に違いが見られた。このことから、梅干し及び調味梅干し(仁)に含有している88Sr、208Pbの2元素を測定することにより、それらに使用された原料の産地判別が可能であった。
2803  アサリ原産地の判別−水産物表示疑義判別法の検討− [PDF_2824kb]
 原産地表示の真偽が検証可能な判別手法について検討を行うため、国内及び外国計22産地のアサリについて、形態計測及び無機元素分析を行った。
 その結果、貝殻及びむき身の形態的計測から大まかな産地の傾向が分かること。また、国内の各産地間でMn, Mg, Li, Ba, Sr等の無機元素組成に異なる傾向が得られ、中国産及び韓国産それぞれ1試料については国産と異なるデータが得られたことから、無機元素組成によりアサリの産地を判別できる可能性が示唆された。
2804  マグロの鮮魚と解凍魚の判別方法の検討 [PDF_345kb]
 水産物のうち消費量が多いマグロは、世界各地で漁獲され、船内で−60℃の低温急速冷凍が一般に行われている。マグロ魚肉中の水分挙動およびマグロ魚肉の細胞の形態変化に着目し、生鮮品と解凍品の判別方法を検討した。解凍ミナミマグロおよびメバチマグロでは生マグロと比較して2倍程度のドリップ量が観察された。しかし、クロマグロの一部およびキハダマグロでは、圧出ドリップ量が少なく、生と大きな違いは見られなかった。電子顕微鏡による細胞組織の観察の結果、ドリップ量の多い試料では細胞組織が崩れ、氷晶が流出したと思われるところが観察された。
2805  軟X線による非加熱殺菌技術の開発 [PDF_876kb]
 食品の品質管理現場での利用可能な実験用軟X線殺菌装置を開発するとともに、その殺菌効果について検討し、食品や食品容器等の表層殺菌に利用できる可能性を明らかにした。また、食品包装容器の代表的な衛生指標菌である黒麹カビ胞子および枯草菌胞子が軟X線により有効に殺菌できることを示し、また、軟X線は紫外線と異なり透過殺菌力があることから、装置化を図れば、ペットボトル無菌充填システムにおけるキャップ殺菌工程への応用が可能であることを明らかにした。
2806  非破壊法による生糸の高精度格付け方法に関する研究 [PDF_701kb]
 農林水産消費技術センタ−で開発した生糸非破壊検査システムを用いて、現行生糸検査の繊度、糸むら、節及びヤング率検査へ非破壊法による生糸の機械検査を適用することについて検討した。その結果、生糸の非破壊による機械検査法と現行検査法による成績を比較したところ、繊度、糸むら、節及びヤング率検査ともに成績がよく一致し、生糸非破壊検査システムを現行検査に適用できることがわかった。非破壊法による生糸検査は、生糸の損失がなく、検査の高精度化・省力化が期待できる。
2807  無機元素組成に基づくケモメトリックスによるネギの産地判別(Analytical Sciences,20,871-877,(2004)より抄録) [PDF_13kb]
 無機元素組成によりネギ(Allium fistulosum L.)の原産国を判別する手法が開発された。22元素(Na、P、K、Ca、Mg、Mn、Fe、Cu、Zn、Sr、Ba、Al、Co、Ni、Rb、Mo、Cd、Cs、La、Ce、Tl、Pb)の含有量を216ネギ試料について分析した。AlとPbを除いた20元素のデータを用いて、国産か中国産かを判別するための線型判別分析とSoft Independent modeling of Class Analogy (SIMCA)のモデルを構築した。線型判別分析では、モデリングに用いた103試料について95%の的中率で分類でき、由来の確かでない24試料を除いた別の89試料について94%の的中率で予測できた。ランダムに10回選択した103試料のデータを用いることで構築した10のSIMCAモデルによる予測では、モデルに用いた103試料も含めて由来の確かな192試料について96%の的中率で予測できた。線型判別分析とSIMCAを組み合わせた判別では、81の日本産試料全てが日本産と正しく判別され、111の中国産試料のうち8試料のみが国産と判別された。
2808  ネギの産地判別のためのケモメトリックスへの無機元素濃度比の適用(Journal of Agricultural and Food Chemistry,52,2004,5803-5809,より抄録)[PDF_13kb]
 19元素のMgに対する濃度比の組成をネギ(Allium fistulosum L.)の産地(日本または中国)を判別するための手法に応用した。この手法の利点はサンプル調製を単純化することができることであり、2日以内でネギの産地を判別する手法を確立した。244ネギ試料に含まれる20元素(Na、P、K、Ca、Mg、Mn、Fe、Cu、Zn、Sr、Ba、Co、Ni、Rb、Mo、Cd、Cs、La、Ce、Tl)を原子吸光分光法、誘導結合プラズマ発光分析法、誘導結合プラズマ質量分析法により測定し、それらの19元素のMgに対する濃度比を線型判別分析とSoft Independent modeling of Class Analogy (SIMCA)に適用した。線型判別分析では日本か中国の山東省、上海市、福建省の4群に分けるモデルにより、モデリングに用いた101試料について97%の的中率で分類でき、別の由来の確かでない24試料を除いた119試料について93%の的中率で判別できた。ランダムに10回選択した101試料のデータを用いることで構築した10のSIMCAモデルによる予測では、モデルに用いた試料を含めた由来の確かな220試料について92%の的中率で予測できた。
2809  共同試験による野菜・果実中残留農薬の多成分一斉分析法の評価(食品衛生学雑誌,45(3),165-174, 2004より抄録) [PDF_12kb]
 8センターにおいて、ホウレンソウ、トマト、リンゴ、ダイコン、キャベツ、ニンジンを用いて、昨年度に報告したGC/MSとHPLCによる多成分一斉分析法で共同試験を行った。得られたデータをもとに、本部で解析を行い、回収率、HORRATr、HORRATRを求め、分析法の評価を行った。
 添加濃度は、試料に対して0.1μg/g(GC/MS分析農薬)および0.5μg/g(HPLC分析農薬)とした。本分析法で十分な精度で定量可能な農薬は、添加した139農薬中111農薬であった。また、スクリーニング分析であれば、118農薬が分析可能であった。8センターにおける検出限界の中央値は、0.001〜0.041μg/gであった。検量線(0.5〜5μg/ml)の相関係数の中央値は0.983〜1.000であり、ほとんどの農薬について良好な直線性を示した。
2810  ミトコンドリアチトクロムb遺伝子のDNA分析による スズキ、タイリクスズキおよびナイルパーチの種判別(日本食品科学工学会誌,51(9),471-476(2004)より抄録) [PDF_11kb]
 いわゆるスズキとして市販されるスズキ(Lateolabrax japonicus)、タイリクスズキ(Lateolabrax sp.)およびナイルパーチ(Lates niloticus)の種判別技術を開発した。
 各魚種の筋肉部より抽出したDNAをPCR増幅し、ミトコンドリアチトクロムb遺伝子領域のダイレクトシーケンスを行った。得られたシーケンスデータから魚種間で差異のある制限部位(Ssp I、Hha I、Mse I)を対象としたPCR-RFLPを行い、その切断パターンのタイピングによる種判別が可能であった。また、魚種特異的プライマーを用いたマルチプレックスPCRを行ったところ、種特有の判別マーカーが増幅され、判別法として有効であることが分かった。
2811  化学修飾によるゼイン主体ポリマーの強靱性と水抵抗性に関する研究(Polymer,44(14),3901-3908(2003)より抄録) [PDF_11kb]
 トウモロコシ種子タンパク質であるゼインをポリカプロラクトン(PCL)およびヘキサメチレンジイソシアネイト(HDI)により合成したプレポリマーを使用して化学修飾し、新規な生分解性の材料を開発した。ジブチル酒石酸塩(DBT)を可塑剤として用い、種々の割合のPCL-HDI (PCLH) 含んだ化学修飾ゼインを圧縮成型し膜を作製した。化学修飾ゼイン主体膜の機械的性質、水抵抗性、熱特性および形態を調べた。強靱性は、膜中のミクロ相分離構造の存在により少量のPCLHによって著しく改善された。また、膜を24時間水に浸漬した時、ゼインマトリックス中のPCLHの凝集と水の可塑化により、PCLH を20-50重量%の割合で混合したゼイン主体膜の破断強度および伸度は、75%の相対湿度に保持された時より高い値を示した。このことはこれらの膜が優れた水抵抗性があることを示唆した。示差走査熱量計により熱分析を行ったところ、DBTは、PCLHとよりもゼインとの強い相互作用を持っていることがわかり、DBTは、化学修飾ゼイン膜中のゼインマトリックスとPCLH成分の親和剤と考えられた。走査電子顕微鏡観察の結果、化学修飾ゼイン膜の断面形状はPCLHの含有量の増加とともに粗くなり、波状構造が観察され、化学修飾ゼイン主体材料はミクロ相分離構造を持つことが明らかとなった。
2812  二官能性ポリカプロラクタム(PCL)によるゼインの化学修飾(Polymer,44(14),3909-3919(2003)より抄録) [PDF_12kb]
 ポリカプロラクトン(PCL)およびヘキサメチレンジイソシアネイト(HDI)によりプレポリマーを合成し、このプレポリマーとDMFを用いて化学修飾ゼイン主体ポリマーを調製した。化学修飾ゼインの合成状態、構造、熱特性、及び機械的性質を調べた。ゼインとプレポリマーとの反応効率は平均97.5%と高く、フーリエ変換赤外分光測定の結果からも化学修飾が成功したことが示された。固体13C NMRを用いて反応機構を調べたところ、少なくとも四つのアミノ酸(Glu 、Gln 、Tyr およびHis) がプレポリマーと反応し、尿素−ウレタン架橋が顕著であることがわかった。示差走査熱量計による熱分析の結果、ミクロ相分離が化学修飾ゼイン中 のゼインのマトリックスとPCL-HDI (PCLH) 成分の間で形成したことを示した。PCLH割合の増加で、化学修飾ゼイン中のPCLの融点は減少した。また、ゼインのガラス転移点はPCLHの可塑剤的役割により低下した。圧縮成型によりPCLHを10〜50重量%の割合で含んだ化学修飾ゼイン膜を作製した。10重量%のPCLH含んだ化学修飾ゼイン膜の破断伸度は、市販のゼインと比べて約15倍増加したが、その破断強度は、それより約2倍減少した。しかしながら、PCLHの割合を増加していくと、化学修飾ゼイン膜の破断強度はわずかに減少したが、柔軟性は顕著に改善することがわかった。これはPCLが化学修飾ゼイン中の弾性的役割を果たしていることを示している。したがって、生分解性高分子の分野での利用の見込みがあるPCLを用いた化学修飾は、ゼインの機械的性質を改善する有効な方法であることがわかった。