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動物用医薬品等の範囲に関する基準

 動物に経口的に給与する物が、薬事法(昭和35年法律第145号)第2条第1項第2号若しくは第3号に規定する医薬品又は同条第2項に規定する医薬部外品に該当するか否かは、その物の成分本質(原材料)、形状(剤型、容器、包装、意匠等をいう。)及びその物に表示された使用目的、効能効果、用法用量等並びに販売の際の演述等を総合的に判断して、通常人が同条第1項第2号又は第3号若しくは同条第2項に掲げる目的を有するものであるという認識を得るかどうかによって判断すべきものである。
 そのため、個々の製品についての、動物用医薬品(以下「医薬品」という。)又は動物用医薬部外品(以下「医薬部外品」という。)(以下これらを「医薬品等」と総称する。)に該当するか否かの判定は、Ⅰの「医薬品等の判定における各要素の解釈」に基づいて、その物の成分本質(原材料)を分類し、効能効果の表示等が医薬品的であるかどうかを検討の上、Ⅱの「判定方法」により行う。
Ⅰ 医薬品等の判定における各要素の解釈
1 物の成分本質(原材料)からみた分類
 物の成分本質(原材料)が、専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)であるかどうかについて、別添の「飼料・医薬品区分における成分本質(原材料)の取扱いについて」(以下「取扱基準」という。)により判断することとする。
 なお、その物がどのような成分本質(原材料)の物であるかは、その物の成分本質、起源、製法等についての表示、販売時の説明、広告等の内容に基づいて判断して差し支えない。
 取扱基準の1に該当すると判断される成分本質(原材料)については、原則として「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和46年6月1日付け薬発第476号厚生省薬務局長通知)の別紙「医薬品の範囲に関する基準」(以下「厚労省基準」という。)の別添2「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を準用する(ただし、当該リストの「3.その他(化学物質等)」の「タウリン」については、医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)に分類する。)。
 なお、厚労省基準の別添2に掲げる成分本質(原材料)であっても、既に医薬部外品として承認を受けているものについては、従前どおり医薬部外品として取り扱って差し支えない。また、取扱基準の1に該当しないと判断された成分本質(原材料)については、厚労省基準の別添3「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」を準用する。
 また、これらのリストは各分類に該当するものの一例であり、本リストに例示されていないことをもって各分類に該当しないということではない。
2 医薬品的な効能効果の解釈
 その物の容器、包装、添付文書又はチラシ、パンフレット、刊行物、インターネット等の広告宣伝物若しくは演述によって、次のような効能効果が表示説明されている場合は、医薬品的な効能効果を標ぼうしているものとみなす。また、名称、含有成分、製法、起源等の記載説明においてこれと同様な効能効果を標ぼうし又は暗示するものも同様とする。
 なお、外国語により標ぼう又は暗示された場合も同様に取り扱う。ただし、「本製品の特徴等については、パッケージに記載されている外国語ではなく、このラベルによりご確認ください。」等の注意書き及び日本語の適正な表示を記載したラベルを、外国語での表示による誤認を防止できる箇所に貼り付ける等の修正がなされている場合は、医薬品的な効能効果を標ぼう又は暗示しているものとみなさない。
(1)主に、動物の疾病の治療に使用されることが目的と判断される表示
(2)主に、動物の疾病の予防に使用されることが目的と判断される表示
(3)主に、動物の身体の構造に影響を及ぼすことが目的と判断される表示
(4)主に、動物の身体の機能に影響を及ぼすことが目的と判断される表示
(5)医薬品であることを暗示させる表示
(6)新聞、雑誌等の記事、獣医師、学者等の談話、学説、経験談等を引用又は掲載することにより医薬品であることを暗示させる表示
3 医薬品的な形状の解釈
 錠剤、丸剤、カプセル剤又はアンプル剤のような剤型は、一般に医薬品に用いられる剤型として認識されているほか、その容器又は被包の意匠又は形態が市販されている医薬品と同じ印象を与えることから、これらの形状の製品は、原則として、医薬品に該当するとの判断が行われてきた。
 しかし、実態として、これまで医薬品的なものとされてきた形状のペットフード等が消費されるようになってきていることから、「ペットフード」等である旨が明示されている場合、原則として、形状のみによって医薬品等に該当するかどうかの判断は行わないこととする。ただし、アンプル形状など通常のペットフード等としては流通しない形状を用いることなどにより、消費者に、医薬品等と誤認させると考えられる場合は、医薬品等と判断される。
4 医薬品的な用法用量の解釈
 医薬品は、適応疾病に対し治療又は予防効果を発揮し、かつ、安全性を確保するために、投与時期、投与間隔、投与量等の詳細な用法用量を定めることが必要不可欠である。したがって、ある物の使用方法として投与時期等の記載がある場合には、原則として医薬品的な用法用量とみなすものとする。
 一方、ペットフード等であっても、過剰給与や連用による健康被害が起きる危険性があるなど合理的な理由があるものについては、むしろ積極的に給与の時期、間隔、量その他給与の際の目安を表示すべき場合がある。したがって、「ペットフード」等である旨が明示されている場合であって、成分、形状等から通常人が当該製品を医薬品等と誤認することがない場合は、時期等の給与の方法を目安として記載することについて、医薬品的用法用量には該当しないこととして差し支えない。ただし、この場合においても、「食前」、「食後」、「食間」など、通常のペットフード等の給与時期等とは考えられない表現を用いるなど、医薬品等と誤認させると考えられる場合は、医薬品等と判断される。
医薬品的用法用量に該当する例:
・ 食前に1錠
・ 食間に2包を投与する。
医薬品的用法用量に該当しない例:
・ 1日1回1粒を目安に与える。
・ (与え方)体重〇〇kg以上〇〇kg以下 2~3粒
Ⅱ 判定方法
 動物に経口的に給与する物について、Ⅰの「医薬品等の判定における各要素の解釈」に基づいて、その成分本質(原材料)を分類し、その効能効果、形状及び用法用量について医薬品的であるかどうかを検討の上、以下に示す医薬品等とみなす範囲に該当するものは、原則として医薬品等と判断するものとする。なお、2種類以上の成分が配合されているものについては、各成分のうちいずれかが医薬品と判定される場合は、当該製品は医薬品とみなすものとする。
 医薬品等とみなす範囲は次のとおりとする。
(1) 効能効果、形状及び用法用量のいかんにかかわらず、取扱基準の1に該当する成分本質(原材料)が配合又は含有されている場合は、原則として医薬品等の範囲とする。
(2) (1)に該当せず、かつ、取扱基準の1に該当しない成分本質(原材料)が配合又は含有されている場合であっても、以下の①から③のいずれかに該当するものにあっては、原則として医薬品等とみなすものとする。
① 医薬品的な効能効果を標ぼうするもの
② アンプル形状など専ら医薬品的形状であるもの
③ 用法用量が医薬品的であるもの

(別添) 飼料・医薬品区分における成分本質(原材料)の取扱いについて

1 「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」の考え方
(1)専ら医薬品としての使用実態のある物
 解熱鎮痛消炎剤、ホルモン、抗生物質、消化酵素等専ら医薬品として使用される物
(2)(1)以外の動植物由来物(抽出物を含む。)、化学的合成品等であって、次のいずれかに該当する物。
① 毒性の強いアルカロイド、毒性たん白その他毒劇薬指定成分に相当する成分を含む物
② 麻薬、向精神薬及び覚せい剤様作用がある物(当該成分及びその構造類似物(当該成分と同様の作用が合理的に予測される物に限る。)並びにこれらの原料植物)
③ 要指示医薬品に相当する成分を含む物であって、家畜保健衛生上の観点から医薬品として規制する必要性があるもの
注1:ビタミン、ミネラル類及びアミノ酸(次に掲げるもの。)及び飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(昭和28年法律第35号。以下「飼料安全法」という。)に基づき指定されている飼料添加物について定められた規格・基準に従って使用する場合を除く。
・アスパラギン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、イソロイシン、グリシン、グルタミン、グルタミン酸、シスチン、システイン、セリン、チロシン、トリプトファン、トレオニン、バリン、ヒスチジン、4-ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、フェニルアラニン、プロリン、メチオニン、リジン、ロイシン
注2:(i)当該成分本質(原材料)が薬理作用の期待できない程度の量で着色、着香等の目的のために使用されているものと認められ、かつ、当該成分本質(原材料)を含有する旨標ぼうしない場合、(ii)当該成分本質(原材料)を含有する旨標ぼうするが、その使用目的を併記する場合等総合的に判断して医薬品と認識されるおそれがないことが明らかな場合には、厚労省基準の別添2「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に収載されていても、医薬品とみなさない。
注3:厚労省基準の別添3「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」に収載されている原材料であっても、水又はエタノール以外の溶媒による抽出を行った場合には、当該抽出成分について、上記の考え方に基づいて再度検討を行い、厚労省基準の別添2「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に収載されているものに相当するものかどうか評価する。
注4:厚労省基準の別添3「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」に収載されている原材料であっても、飼料や飼料添加物の場合には、その使用の可否等の取扱いは飼料安全法に基づき判断される。
2 新規の成分本質(原材料)についての判断
 厚労省基準の別添2「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」にも、厚労省基準の別添3「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」にも収載されていない成分本質(原材料)を含む製品を輸入販売又は製造する事業者は、あらかじめ、当該成分本質(原材料)の学名、使用部位、薬理作用又は生理作用、毒性、麻薬・覚せい剤様作用、国内外での医薬品としての承認前例の有無等の資料を入手の上で、農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課又は動物医薬品検査所企画連絡室あて提出し、その判断を求めることができる。
3 リストの見直し
 厚労省基準の別添3「医薬品的効能・効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」及び厚労省基準の別添2「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」は、今後、新たな安全性に関する知見等により、必要に応じて変更されることがある。


注:本文中の「別添2」、「別添3」は厚生労働省のホームページにリンクしています。

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