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国外で使用される農薬に係る飼料中の残留基準の設定及び改正に係る要請等に関する指針

(別 添)
国外で使用される農薬に係る飼料中の残留基準の設定及び改正に係る要請等に関する指針
Ⅰ 目的
 飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(昭和28年法律第35号。以下「法」という。)第3条第1項の規定に基づき、飼料の使用が原因となって、有害畜産物が生産され、又は家畜等に被害が生ずることにより畜産物の生産が阻害されることを防止する見地から、飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令(昭和51年農林省令第35号)別表第1の1の(1)のセにおいて、飼料の原料に超えて含まれてはならない農薬の成分である物質の量(農薬に係る飼料中の残留基準)を定めている。
 我が国に輸出される飼料作物の中には、我が国で登録されていない農薬であって、国外において登録され、又は登録申請の手続が行われているもの(以下「国外で使用される農薬」という。)が使用されることがある。このため、本指針において求める試験成績等を含む科学的なデータに基づき、国外で使用される農薬に係る飼料中の残留基準の設定及び改正を進め、安全な飼料の安定供給による安全な畜産物の消費者への供給を促進するため、国外からの要請に対応する必要がある。
 本指針は、国外で使用される農薬に係る飼料中の残留基準の設定及び改正に必要な試験成績等の範囲の目安を示したものであるが、本来、全ての物質について一律の資料を求めることは合理的ではなく、また、今後とも科学技術の進歩に応じ新しい試験・評価方法の開発が行われることも考えられる。このため、本指針は国外で使用される農薬に係る飼料中の残留基準を設定するために求められる標準的な試験成績等を示したものであり、十分に評価又は残留基準を検討し得る試験成績等が得られるならば、これ以外の試験成績等をもって代用することもできるものとする。
Ⅱ 飼料中の残留基準の設定及び改正に係る手続
1 要請
 国外で使用される農薬であって、既にアメリカ合衆国、アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、中華人民共和国若しくはブラジル(以下「諸外国」という。)において登録され、又は登録申請の手続が行われているものについて、我が国への輸出が想定される飼料中の残留基準の設定又は改正を要請する場合は、要請者は農林水産省消費・安全局長宛てに、別紙様式により要請書を提出することができる。その際、要請書には、Ⅲの1に規定する試験成績等を添付しなければならない。
 なお、要請者が国外に在住する場合には、日本国内において当該要請に関する事項について責任をもって対応できる者(国内連絡先)を明記すること。また、要請書は、直接、農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課に提出すること。
※ 対象となる諸外国については、我が国への輸出動向等状況の変化に応じて見直すことがある。
2 審査
 国外で使用される農薬に係る飼料中の残留基準の設定及び改正の要請については、農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課において審査を行う。その際、同課では、
(1) 農薬を使用する飼料作物の我が国への輸出実態
(2) 飼料中の農薬の残留実態
(3) 飼料を経由した畜産物への移行性
等を踏まえ、飼料中の残留基準を設定する。なお、(1)から(3)までの解析等の結果、飼料に関するリスク管理措置を講じる必要がないと判断した場合等には、飼料中の残留基準を設定しないこととする。
 また、畜産物における残留が予測される場合には、飼料の最大投与割合の表及び家畜代謝・残留試験の成績を使用して、畜産物中の残留基準案を検討する。
 食品健康影響評価については、食品安全基本法(平成15年法律第48号)第24条第1項第5号の規定に基づき、食品安全委員会の意見を聴く。
 食品安全委員会の評価結果を踏まえ、法第3条第2項の規定に基づき、残留基準案につき農業資材審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴く。
 審議会からの答申を踏まえ、法第3条第1項の規定に基づく国外で使用される農薬に係る飼料中の残留基準の設定等に必要な事務手続を行う。
Ⅲ 要請に必要な試験成績等
1 試験成績等の範囲
 国外で使用される農薬に係る飼料中の残留基準の設定又は改正の要請に当たり、必要とされる試験成績等の範囲は次のとおりとする。
 また、試験成績等が必要な飼料作物※は別紙のとおりとする。
※ 現在、我が国における家畜(牛及び鶏)への飼料としての給与量が一定以上ある飼料作物を対象とする。なお、対象となる飼料作物については、我が国における飼料給与実態等状況の変化に応じて見直すことがある。
<飼料作物に関する試験成績>
(1)飼料作物における作物代謝試験
 「農薬の登録申請に係る試験成績について」(平成12年11月24日12農産第8147号農林水産省農産園芸局長通知。以下「通知」という。)における毒性に関する試験成績のうち、植物体内運命(動態)に関する試験成績に準拠したもの。
 なお、対象作物についての試験成績がない場合は、植物学的に関連した作物における試験成績で代用可能である。
(2)飼料作物における作物残留試験
 通知における残留性に関する試験成績のうち、農作物への残留性に関する試験成績に準拠したもの。なお、試験成績については、諸外国において実施された試験によるものとする。減衰試験についても含むことが望ましい。
 なお、我が国において飼料として用いられる食用作物の加工残渣については加工試験の成績も含む。
<家畜に関する試験成績>
(3)家畜代謝試験
 OECDテストガイドライン503「Metabolism in Livestock(2007年1月8日採択)」に準拠した試験成績
(4)家畜残留試験
 OECDテストガイドライン505「Residues in Livestock(2007年1月8日採択)」に準拠した試験成績
<その他>
(5)保存安定性試験
 OECDテストガイドライン506「Stability of Pesticide Residues in Stored Commodities(2007年10月16日採択)」に準拠した試験成績
(6)(1)から(5)までの試験に用いた分析法の情報
 飼料作物中の残留農薬の検出に用いることができる分析法に関する資料について提出すること。
(7)毒性試験
 通知における毒性に関する試験成績(水産動植物及び水産動植物以外の有用生物への影響並びに環境中予測濃度算定に関する試験を除く。)及び残留性に関する試験成績(土壌への残留性に関する試験成績を除く。)に準拠したもの。
(8)製品に添付されているラベル等
 製品に添付されているラベル又はラベル案等であって、我が国への輸出が想定される飼料作物に対する使用基準等の情報が記載されたものを提出すること。
(9)諸外国における登録等の情報
 諸外国における登録の情報及び設定されている残留基準に関する資料を提出すること。
2 GLPの遵守等
 1に掲げる試験においては、GLP(Good Laboratory Practice)を遵守することを基本とする。また、1に掲げる試験を自ら実施しない場合は、試験成績(学術雑誌に公表されたものを除く。)の使用について当該権利を所有する者の承諾を得ていること。
3 試験成績等の提出方法等
 1の(1)から(6)までに掲げる試験成績等の資料概要については、印刷物形式及びCD等の電子媒体形式で提出すること。また、1の(1)から(7)までに掲げる資料概要以外の添付資料(個々の試験成績等)については、CD等の電子媒体形式で提出すること。資料概要は邦文を原則とするが、英文であっても可とする。
Ⅳ その他
1 試験成績等の追加要求
 農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課は、国外で使用される農薬に係る飼料の残留基準の設定及び改正の上で必要があると認められる場合又は食品安全委員会若しくは審議会における審議過程等において資料の追加が必要とされる場合には、必要な試験成績等の提出を要請者に対して求めることがある。
2 諸外国における登録状況等の報告
 諸外国における残留基準の設定中又は設定後に、諸外国における登録等の取下げ又は取消しに関する情報があった場合は、入手し得る情報を添えて、直ちに農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課へ報告すること。
 また、登録申請中の場合は、承認後直ちに、ラベルの承認状況について報告すること。
3 試験成績等の報告
 既に提出した試験成績等に誤り又は修正があった場合には、直ちに報告すること。
様式
(注意)
1 用紙の大きさは、日本産業規格A4とすること。
2 字は、墨、インク等を用い、邦文にあっては楷書ではっきり書くこと。
3 要請者が国外に在住する場合には、国内連絡先を記載すること。
別紙
飼料用作物一覧
作物名 飼料名 CROP FEEDSTUFF
大麦 大麦(子実) Barley grain
ビールかす Brewer's grain dried
小麦 小麦(子実) Wheat grain
ふすま Wheat milled bypdts
えん麦 えん麦(子実) Oat grain
えん麦(乾牧草) Oat hay and straw
ライ麦 らい麦(子実) Rye grain
らい麦(乾牧草) Rye hay and straw
米ぬか Rice bran/pollard
稲わら Rice straw
とうもろこし とうもろこし(子実) Corn, (field and pop) grain
コーングルテンフィード Corn gluten feed
コーングルテンミール Corn gluten meal
コーンミールジャム Corn, field milled bypdts
ホミニーフィード Corn, field hominy meal
とうもろこしジステラーゼグレインソリュブル Distiller's grain dried
てんさい ビートパルプ Beet, sugar dried pulp
こうりゃん こうりゃん(子実) Sorghum, grain grain
ソルゴー ソルゴー(乾牧草) Sorghum, grain stover
大豆 全脂大豆 Soybean seed
大豆油かす Soybean meal
とうふかす Soybean okara
大豆皮(ソイハルペレット) Soybean hulls
なたね なたね油かす Rape meal
やし やし粕(コプラフレーク) Palm kemel meal
ごま ごま油かす Sesame seed meal
アルファルファ アルファルファ(乾牧草、ヘイキューブ) Alfalfa hay and meal
まめ科の牧草(アルファルファを除く) まめ科の牧草(乾牧草) Vetch hay
いね科の牧草(えん麦、らい麦及びソルゴーを除く) いね科の牧草(乾牧草) Grass hay
※ 別名「マイロ」という。

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