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飼料用とうもろこし子実のかび毒汚染防止・低減に向けた技術指導について

4消安第7174号、4畜産第2770号
令和5年3月23日
農林水産省消費・安全局農産安全管理課長
消費・安全局畜水産安全管理課長
畜産局飼料課長
飼料用とうもろこし子実のかび毒汚染防止・低減に向けた技術指導について

 近年、国内では飼料用とうもろこしの子実生産が拡大しつつある。とうもろこし子実の生産は青刈りとうもろこしに比べ、栽培期間が長くなるため、害虫等による被害が顕在化することが多い。
 特に、とうもろこしの害虫の一つであるアワノメイガは、東北以南を中心に発生が認められており、幼虫から穂軸の食害を受けると、機械収穫時に雌穂が脱落して収量低下の要因となるほか、食害を受けた子実は、かび毒産生菌が侵入しやすくなることが知られている。
 この際、かび毒に汚染された飼料が原因となって、人にとって有害な畜産物が生産され、又は家畜に被害が生ずることのないよう、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(昭和 28 年法律第 35 号)に基づき、飼料の製造、流通等を適切に管理することが求められている。
 このため、とうもろこし子実の生産においては、化学的防除(農薬の散布)及び耕種的防除(収穫後の残さの撤去又は地中へのすき込み)を組み合わせたアワノメイガ対策等の取組を行うことが重要である。
 また、収穫後は、貯蔵中の子実におけるかび毒の汚染を防止するため、速やかに乾燥・サイレージ調製を行うことも重要である。

1 品種の選定
 飼料用とうもろこしでは、経験的にかび毒の発生が低い品種があることが知られている。品種の選定に当たっては、地域の気象条件や栽培体系の適性を考慮して選ぶことが基本ではあるが、必要に応じて種苗メーカーから情報を収集し、かび毒に関する情報が得られた場合には品種選定の参考とすること。

2 播種時期の調整
 早期に播種するほど、とうもろこし中のかび毒濃度が低く抑えられることが知られていることから、播種可能時期を迎えたら速やかに播種すること(例えば、田植え後よりは田植え前の播種)を検討する。

3 農薬(殺虫剤)の散布
 絹糸抽出期前後にアワノメイガが産卵すると、幼虫による子実等の食害リスクが高くなることから、絹糸抽出期前後に散布する。また、農薬の使用に当たっては、当該農薬のラベルに記載されている、作物名、適用害虫名、希釈倍数、使用時期等の使用基準を守ること。
 子実のみ(イアコーンサイレージを含まない)を収穫・利用するために栽培する飼料用とうもろこしに使用可能であって、アワノメイガに登録のある農薬は以下のとおりである(令和5年7月現在)。
 
農薬の種類
カルタップ水溶剤
BT水和剤
クロラントラニリプロール水和剤
エトフェンプロックス乳剤
エトフェンプロックス粉剤
フルベンジアミド水和剤
メタフルミゾン水和剤


4 収穫後の速やかな乾燥・サイレージ調製
 収穫後、子実水分が高い状態で保管すると腐敗やかび毒の汚染リスクが高くなることから、速やかに乾燥又はサイレージ調製する。

5 収穫後の残さの撤去又は地中へのすき込み
 アワノメイガの幼虫は、とうもろこし子実を収穫した後の植物残さで越冬することから、収穫後はほ場から植物残さを撤去するか地中へのすき込みを行う。


※かび毒について
 かび毒とは、植物病原菌であるかびや貯蔵穀物などを汚染するかびが産生する化学物質であり、人や家畜の健康に悪影響を及ぼすものをいう。
 飼料用とうもろこしの子実には、ゼアラレノン、デオキシニバレノール、フモニシン類、アフラトキシン類等のかび毒が含まれる場合があることから、栽培・調製等の各段階で適切な管理を行い、かび毒の含有レベルをできるだけ低く抑えることが、人や家畜の健康を保護する上で大変重要である。

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