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調査研究報告 第31号(平成19年12月)

  • 3101 無機分析によるニンニクの原産国判別法の開発(PDF: 45KB)

    ニンニク(Allium sativum L.)の鱗片を開放系にて酸分解し、試料溶液を調製した後、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP-AES)により10元素(Na、Mg、P、K、Ca、Mn、Fe、Zn、Sr及びBa)、また、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)により17元素(Li、Al、V、Co、Ni、Cu、Rb、Y、Mo、Cd、Cs、La、Nd、Sm、Gd、W及びTl)を定量した。国産品47試料、中国産品32試料の定量値を用いて線型判別分析を行うことで構築した原産国を判別する関数は、全72試料を正しく分類した。判別関数の精度をクロスバリデーションにより確認した結果、100 %の的中率となり、ニンニクの原産国表示の信憑性を無機分析により検証できる手法が確立できた。

  • 3102 無機分析によるショウガの原産国判別法の開発(PDF: 48KB)

    ショウガ(Zingiber officinale)を開放系にて酸分解し、試料溶液を調製した後、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP-AES)により10元素(Na、Mg、P、K、Ca、Mn、Fe、Zn、Sr及びBa)、また、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)により17元素(Li、Al、V、Co、Ni、Cu、Rb、Y、Mo、Cd、Cs、La、Nd、Sm、Gd、W及びTl)を定量した。国産品45試料、中国産品29試料の定量値を用いて線型判別分析を行うことで構築した原産国を判別する関数は、国産試料3試料を除く71試料を正しく分類した。判別関数の精度をクロスバリデーションにより確認した結果、92 %の的中率となり、ショウガの原産国表示の信憑性を無機分析により検証する手法が確立できた。

  • 3103 生糸機械検査システムの開発に関する研究(第1報)-生糸機械検査システム制御装置及び縦型実用検査装置の開発-(PDF:503KB)

    現行生糸検査の繊度、糸むら、節及びヤング率に適用できる生糸機械検査システムを開発した。既に横浜事務所で開発されていた「生糸非破壊検査装置」の制御装置部分の改良に取り組み、インターフェース、制御システムプログラム等をWindows-XPに対応させるなどして「生糸機械検査システム制御装置」を開発した。更に、システムの計測部分を縦型方式に改良して実用性の高い「縦型実用検査装置」の開発を行った。

  • 3104 生糸機械検査システムの開発に関する研究(第2報)-ソフトウエア及び絹撚糸の測定方法の開発-(PDF:706KB)

    生糸機械検査システムのためのレポート作成ソフト、データ解析・帳票作成ソフトを開発した。更に、近年輸入が急増しているにも係わらず、品質評価方法が確立されていない絹糸(絹撚糸、完成撚糸)について計測及びデータの処理・加工方法を開発した。このシステムが生糸原糸及び絹糸の品質評価の有効な手段となると考えられる。

  • 3105 生糸機械検査システムの開発に関する研究(第3報)-日本と中国とのデータ交換-(PDF:1.0MB)

    本部横浜事務所では、生糸機械検査システムの開発をしてきた。一方、中国においても、生糸検査の機械化のために電子生糸検査装置及び検査基準を開発しているところである。日中技術協力の一環として、日中の生糸機械(電子)検査システムの比較試験を実施した。同一生糸試料によるデータ交換を行った結果、平均繊度に差がみられないこと。大中節については計測原理が異なるものの節の出現傾向に一致がみられることが分かった。

  • 3106 元素組成による日本の主要3産地と外国との間のタマネギの原産地判別(Journal of Agricultural and Food Chemistry, 55, 347-354 (2007)より抄録)(PDF: 17KB)

    タマネギ(Allium cepa L.)は多くの国で栽培され、最もよく食べられている野菜の一つであり、国際的な取引の量も非常に多い。一方、偽装表示を防ぐ手段として、農水産物の原産地を科学的に判別する手法の開発が求められている。このようなことから、私たちは無機分析と線型判別分析(LDA)に基づく判別手法を開発した。タマネギ試料は、日本の主要産地である北海道産品108件、佐賀県産品52件、兵庫県産品77件、及び外国(中国、アメリカ、ニュージーランド、タイ、オーストラリア、チリ)産品72件の、合計309点を用いた。これら試料中の14元素(Na、Mg、P、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Rb、Sr、Mo、Cd、Cs及びBa)をフレーム原子吸光分析法、誘導結合プラズマ発光分析法及び誘導結合プラズマ質量分析法により定量した。これらの定量値を用いてLDAにより、北海道-外国、佐賀県-外国及び兵庫県-外国の間で原産地を判別するモデルを構築した。10-fold crossvalidation(1/10の試料のデータを除いて新たに判別モデルを構築し、除いた試料について予測する操作を10回行い、全試料を予測することで判別精度を得る)の結果、北海道-外国間ではそれぞれ100 %と86 %、佐賀県-外国間ではそれぞれ98 %と90 %、兵庫県-外国間ではそれぞれ100 %と90 %の判別的中率であった。また、農産物が特定の産地の土壌から吸収する元素濃度パターンのfingerprint(指紋)は、適切な元素を選択することで、施肥、連作年数、品種、土壌タイプ及び産年が変動しても、容易には変動しないことが実証された。

  • 3107 改良デュマ法によるしょうゆの全窒素定量(分析化学, 56(3), No.3, 179-183(2007)より抄録)(PDF: 13KB)

    改良デュマ法によるしょうゆの全窒素分定量法を検討した。11種類のしょうゆを試料として、その0.5 gを石英ボートにはかりとり、ハロゲン・硫黄吸着剤が充填された燃焼管内に導入し、高純度酸素を助燃ガスとして870℃で燃焼して生成したNOxの酸素を銅還元管で除去した後、熱伝導度検出器で検出してそのピーク面積を求めた。まず、全窒素分を2.000 %に調製したリジン水溶液を分析した結果、2.002 %であり、理論値とほぼ一致した値が得られた。また、分解条件を最適化したケルダール法と改良デュマ法の室内再現性を一元配置分散分析で検証した結果、各分析法で1試料に有意差が認められたが、これらの日間及び日内変動はHorwitz式から求めた併行相対標準偏差より低く、実質的な日間差はないと判断した。さらに、Welchのt検定により両分析法の測定結果の差について有意差を確認した結果、11試料中6試料について有意差が認められたが、それらの平均値の差がHorwitz式から求めたケルダール法での併行許容差内であり、実質的な有意差はないと判断した。また、改良デュマ法はケルダール法より併行精度が高く、両分析法の相関性もR2=0.9999であった。以上の結果から改良デュマ法はしょうゆの全窒素測定に適用可能であることを確認した。

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