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調査研究報告 第36号(平成24年11月)

  • 3601 元素分析による生シイタケの栽培方法及び原産国の判別法の開発(PDF:787KB)

    国内に流通している国産原木栽培シイタケ、国産菌床栽培シイタケ及び中国産菌床栽培シイタケを収集し、それらの元素組成の差異を調査することで、栽培方法、原産国を予測するための判別法の開発を検討した。シイタケ中の21元素を定量する分析法の精度等を確認した後、各栽培品計224件を分析した。まず、国産原木栽培品79件と菌床栽培品145件(うち国産菌床栽培品87件、中国産菌床栽培品58件)の元素濃度を変数として、線形判別分析により栽培方法判別モデルを構築した。この結果、国産原木栽培品の栽培方法を97.9 %の的中率で予測し、菌床栽培品の栽培方法を99.2 %の的中率で予測するモデルが構築できた。また、同様に、国産菌床栽培品87件と中国産菌床栽培品58件の元素濃度を変数として、原産国判別モデルを構築した。この結果、国産菌床栽培品の原産国を86.1 %の的中率で予測し、中国産菌床栽培品の原産国を85.4 %の的中率で予測するモデルが構築できた。

  • 3602 安定同位体比分析による豚肉の産地判別法の検討(PDF:851KB)

    国産18件、米国産31件、カナダ産25件、デンマーク産14件の豚肉について酸素安定同位体比を分析し、国産と米国産及び国産とカナダ産の判別可能性を検討した。また、国産とデンマーク産の判別精度の向上を検討した。既報の炭素及び窒素安定同位体比と合わせて線形判別分析を行ったところ、国産と米国産については判別できる可能性は低かったが、国産とカナダ産について判別の可能性が示唆された。国産とデンマーク産については既報と同程度の判別精度であった。

  • 3603 塩基配列決定法による種推定の検討(PDF:1.3MB)

    食品として流通する主なきのこ類17種について核DNAの特定遺伝子領域(18S rRNA, ITS1, 5.8S rRNA, ITS2及び28S rRNAの各遺伝子領域を含む)を増幅するプライマーを用いた塩基配列決定法による当該遺伝子領域の塩基配列の決定の可否を検討した。検討した17種すべての種について5試料中3試料以上についてPCR産物が検出可能であった。検出されたPCR産物を用い塩基配列の決定を行ったところ、17種中12種については、全てのPCR産物について塩基配列の決定が可能であったが、エノキダケ及びマイタケの一部試料とハタケシメジ、ナメコ及びヤマドリダケモドキの全PCR産物について部分的な配列の決定にとどまった。解析可能な領域を比較すると、同属内で、98.0 %以上の配列相同性を有する種が存在したため、種を推定することは困難であると考えられた。他属間での、配列相同性は80 %以下であり、属レベルでの推定は可能であると考えられた。これにより、販売時に記載されている「名称」及び「原材料名」の真正性を確認することが可能であると考えられた。

  • 3604 近赤外分光分析法による干しそばのそば粉と小麦粉の混合割合の推定法の検討(PDF:631KB)

    これまで著者らは近赤外分光分析法を用いた粉末状態におけるそば粉と小麦粉の混合割合の推定について検討し、高精度に推定できることを確認している。今回は、市販品「干しそば」及び「干しめん」を購入し、棒状試料の状態のままで大型セルに試料を充填し、近赤外スペクトルを測定し、近赤外分光分析法による簡易・迅速測定の可能性について検討し開発し検量線を検証用試料で評価したところ、作成した検量線を用いた分析法はスクリ-ニング法として十分であると評価された。

    以上により、近赤外分光分析法による市販品「干しそば」のそば粉混合割合の推定法は、簡易・迅速の定量分析に利用できることが示唆された。

  • 3605 農作物加工品からの遺伝子組換え体の定性分析技術の検討<リアルタイムPCR装置による定性分析法の加工食品への適用性の検討>(PDF:1.3MB)

    市販のダイズ加工品、トウモロコシ加工品及びジャガイモ加工品等を対象として、リアルタイムPCR装置による遺伝子組換え体定性分析法の加工食品への適用について検討した。

    ダイズ加工品及びトウモロコシ加工品についてはリアルタイムPCR装置による定性分析法と現行のJAS分析試験ハンドブックに記載されている定性分析法との間に大きな差は見られなかった。ジャガイモ加工品等についてはリアルタイムPCR装置による定性分析法が現行のJAS分析試験ハンドブックに記載されている定性分析法と同等以上の検出感度を有する可能性が示唆された。

    以上のことから、ダイズ加工品、トウモロコシ加工品及びジャガイモ加工品等についてリアルタイムPCR装置による定性分析法の適用は可能であることが示唆された。

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