このページの本文へ移動

調査研究報告 第38号(平成26年12月)

  • 3801 ネギの原産地判別法の再検討(PDF:638KB)

    平成16年に開発された既報のネギの原産地判別法の検証及び改良を行うため、平成25年にネギ60試料(国産34試料、中国産26試料)を入手して元素濃度を測定し、既報の判別法の検証を行ったところ、中国産の判別率は既報で示された判別率に比べて低くなった。このため、検証した試料を既報の判別モデル構築試料に加えて、異なる統計手法により解析を行った。その結果、高い判別率かつ簡便な判別モデルを構築することができた。

  • 3802 ストロンチウム安定同位体比によるタケノコ等野菜の水煮加工品の原料原産地判別法の検討(PDF:484KB)

    日本産及び中国産のタケノコを原料とした水煮加工品について、ストロンチウム安定同位体比(87Sr/86Sr)を利用した原料原産地判別法を検討した。また、他の野菜(レンコン、ワラビ及びゼンマイ)の水煮加工品に当該判別法を適用し、原料原産地の判別が可能か検討した。日本産タケノコを用いて作製したタケノコの水煮加工品について87Sr/86Srを測定した結果、タケノコの水煮加工品の87Sr/86Srは、加工に用いた水(加工水)の影響を受けること、タケノコの水煮加工品を1 mol/L酢酸アンモニウム水溶液で超音波処理することにより、加工水の影響を軽減できることがわかった。1 mol/L酢酸アンモニウム水溶液で超音波処理したタケノコの水煮加工品(日本産63点、中国産46点)について87Sr/86Srを測定した結果、産地間で有意差が認められた(p<0.05)。

    日本産と中国産の判別の境界値を87Sr/86Sr=0.7097としたとき、中国産を中国産と判別する確率(感度)及び日本産を日本産と判別する確率(特異度)は共に85 %であった。さらに、タケノコの水煮加工品の原料原産地判別に用いた超音波処理による方法を、レンコン、ワラビ及びゼンマイの水煮加工品に適用した。その結果、レンコンの水煮加工品の87Sr/86Srは、日本産と中国産間で有意差が認められた(p<0.05)。

    日本産と中国産の判別の境界値を87Sr/86Sr=0.7102としたとき、感度及び特異度は共に89 %となり、タケノコの水煮加工品と同様に原料原産地の判別が可能と考えられた。他方、ワラビの水煮加工品は日本産とロシア産、ゼンマイの水煮加工品は日本産と中国産の87Sr/86Srが似た値を示し、判別が困難であった。

  • 3803 DNA分析によるのりの原産地判別法の検討(PDF:447KB)

    乾のり、焼きのり及び味付けのり(板のり)を対象としたDNA分析によるのりの原産地判別法について、Touhataらの報告を参考にして一部を変更し、判別が可能であるかどうか検討を行った。

    PCR及びPCR-RFLP法により日本産の板のりでは全て日本型と判別され、韓国産及び中国産の板のりでは一部の日本型となった試料を除き、韓国型又は韓国・中国型と判別されたことから、FAMICの表示監視業務に適した日本産と韓国及び中国産ののりの産地判別が可能であった。また、おにぎり等の加工品に使用された板のりにおいても、電気泳動パターンによる判別が可能であった。

  • 3804 にしん加工品(かずのこ等)の原料原産地判別法の検討(PDF:592KB)

    ニシン及びタイセイヨウニシンについて、ミトコンドリアDNAの3遺伝子領域(16S rRNA、COI、Cytb)の部分配列を決定し、両種の相異塩基からPCR-RFLP法による判別法の検討を行った。その結果、Cytb遺伝子領域上にプライマーを設計したPCR-RFLP法により、両種を判別することが可能となった。

    開発した判別法は、こんぶ巻や甘露煮等の加工度の高い加工食品では、PCR産物が得られない商品もみられたが、塩蔵品、乾燥品等の原料原産地表示が義務付けられている加工食品では、分析可能であることを確認した。これらの結果より、にしん加工品について原材料であるニシン属の種を判別することで、両種の生息海域が異なることから、原料原産地の表示の検証が可能となった。

  • 3805 大豆加工品の新規DNA抽出法の検討(PDF:1.3MB)

    大豆加工品における遺伝子組換え食品の検査において、新規DNA抽出キット(GM quicker 3)によるDNA抽出法の適用の可否を調べるために、市販品を用いて検討した。GM quicker 3によるDNA抽出法と現在検査に使われているDNeasy Plant Maxi Kit によるDNA抽出法を(1)吸光度による抽出DNA溶液の純度及び濃度、(2)ダイズ内在性のレクチン遺伝子領域を対象としたPCR産物の検出の2項目について両DNA抽出法を比較したところ、GM quicker 3によるDNA抽出法は、DNeasy Plant Maxi Kit によるDNA抽出と同等以上の結果が得られた。よって、大豆加工品における遺伝子組換え食品の検査において、GM quicker 3によるDNA抽出法の適用は可能であると考えられた。

▲このページのTOPに戻る