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飼料の有害物質の指導基準の一部改正について

27消安第1935号 
平成27年6月25日 

農林水産省消費・安全局長 

飼料の有害物質の指導基準の一部改正について

 家畜等への有害物質の移行性等に関する科学的知見の蓄積や飼料における国際的な食品安全確保の考え方の導入を踏まえ、今般、飼料の有害物質の基準に関する位置付けを見直すこととし、「飼料の有害物質の指導基準の制定について」(昭和63年10月14日付け63畜B第2050号畜産局長通知。以下「通知」という。)を別添のとおり改正し、平成27年6月25日から施行(とうもろこし中のアフラトキシンBの管理基準については平成27年12月25日から施行)することとします。
 つきましては、本改正内容について、下記事項に留意の上、貴管下関係者に対する周知徹底につき御協力をお願いします。
 また、本通知の施行に伴い、「ゼアラレノンの検出について」(平成14年3月25日付け13生畜第7269号生産局畜産部飼料課長通知)、「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律第2条の6の規定に基づく販売の禁止等について」(平成14年5月22日付け14生畜第971号生産局長通知)、「飼料中のデオキシニバレノールについて」(平成14年7月5日付け14生畜第2267号生産局畜産部飼料課長通知)及び「デオキシニバレノールを含む飼料の飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律第2条の6の規定に基づく販売の禁止等について」(平成15年3月17日付け14生畜第8021号生産局長通知)は廃止するので申し添えます。

1.改正の背景
(1)飼料から検出される頻度が高く、家畜等の健康や畜産物を介して人の健康に悪影響を及ぼす可能性が高いかび毒、重金属等の有害物質については、「飼料の有害物質の指導基準の制定について」(昭和63年10月14日付け63畜B第2050号畜産局長通知)、「ゼアラレノンの検出について」(平成14年3月25日付け13生畜第7269号生産局畜産部飼料課長通知)及び「飼料中のデオキシニバレノールについて」(平成14年7月5日付け14生畜第2267号生産局畜産部飼料課長通知)において、指導基準及び暫定許容値(以下「指導基準等」という。)を定めているところです。
 これらの指導基準等を超えた飼料が確認された場合は、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(昭和28年法律第35号。以下「法」という。)第23条第1号に該当する飼料が原因となって、有害畜産物が生産され、又は家畜等に被害が生ずることにより畜産物の生産が阻害されることを防止するため必要があるときに該当するとして、同条に基づき製造等を禁止するとともに、法第24条に基づく廃棄等を命令する対象として取り扱うこととしてきたところです。

(2)一方で、今般、農林水産省において、家畜等への有害物質の移行試験の結果等を精査した結果、2の(2)に示す乳用牛用配合飼料中のアフラトキシンBの基準以外の指導基準等については、家畜等の健康や畜産物を介して人の健康に悪影響を及ぼさないことが確認された飼料中の最大濃度よりも低い水準であるという科学的知見が得られました。

2.改正の内容
(1)1及び平成27年6月から「飼料の適正製造規範(GMP)ガイドラインの制定について」(平成27年6月17日付け27消安第1853号消費・安全局長通知)が施行されたことを踏まえ、乳用牛用配合飼料中のアフラトキシンBの基準以外の指導基準等については、今後、事業者のGMP等の工程管理による有害物質の低減対策の効果を確認するための指標(※)(当該基準は今後「管理基準」と呼称)として位置付け、当該基準を超えた飼料が確認された場合であっても、直ちに法第23条に基づく製造等の禁止等及び法第24条に基づく廃棄等の命令の対象とする飼料として取り扱わないこととします。
 ただし、管理基準の超過の程度によっては、有害畜産物が生産される等のおそれがあることから、事業者の工程管理における自主検査等により管理基準を超えた飼料が確認された場合は、事業者は、農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課(以下「農林水産省」という。)に対して速やかに報告してください。農林水産省は、当該報告を受けて、飼料から畜産物への移行性や家畜等への影響の状況等を総合的に勘案した上で、必要があると認めるときは、農業資材審議会の意見を聴いて、法第23条第1号及び第24条の適用の可否について検討することとします。

(※)「食品及び飼料中の汚染物質及び毒素に関するコーデックス一般規格(CODEXSTAN 193-1995)」では、汚染物質等の有害物質の基準を設定する際には、飼料中の有害物質の低減に効果がある手法を実施した上で得られる食品や飼料中の有害物質の含有実態結果に、ALARA(As Low As Reasonably Achievable)の原則を適用し、消費者の健康が保護できる範囲内で、合理的に到達可能な範囲でできる限り低く基準を設定することを推奨しています。このように設定された基準については、工程管理による有害物質の低減対策の効果の確認に使用されます。

(2)一方で、乳用牛用配合飼料中のアフラトキシンBについては、アフラトキシンM(※)が、内閣府食品安全委員会において、遺伝毒性発がん物質であると評価されていることに加え、当該基準を超えた飼料が乳牛へ給与された場合、有害な畜産物(乳)が生産される可能性が高いと考えられています。このことから、当該基準を超えた飼料が確認された場合は、これまでと同様に、法第23条第1号に該当する飼料が原因となって、有害畜産物が生産され、又は家畜等に被害が生ずることにより畜産物の生産が阻害されることを防止するため必要があるときに該当するとして、当該基準を超えた飼料については製造等の禁止、廃棄等の命令の対象として取り扱うこととします(当該基準は今後「指導基準」と呼称)。

(※)アフラトキシンBを含んだ飼料を乳牛が摂取した場合、アフラトキシンBが体内でアフラトキシンMに代謝されて、乳汁へ排出されることが確認されています。

(3)上記の改正に加え、近年の飼料原料高騰や天候変動による輸入先国の多様化及び厚生労働省における乳に含まれるアフラトキシンMに関する新たな規制に対応して、乳用牛用配合飼料中の安全をより効果的に確保する観点から、とうもろこし中のアフラトキシンBについて、新たに管理基準を設定することとし、輸出先国におけるリスク管理をより一層促すこととします。

3.その他
 飼料を製造するための原料又は材料となる混合飼料については、当該飼料が単独で家畜等へ給与されることがないことから、今般、通知における飼料の基準の対象から除外することとしました。
 なお、原料又は材料となる混合飼料中の有害物質の濃度が配合飼料中の有害物質の指導基準又は管理基準を超えた場合には、当該原料又は材料を使用するに当たって配合割合等を調整し、最終製品となる配合飼料中の指導基準又は管理基準を超えることのないよう関係者へ周知徹底方よろしくお願いします。

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