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GHG削減効果があるとされる資材の飼料安全法における取扱いについて

令和 5年12月26日  5消安第 5441号 

農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課長

GHG削減効果があるとされる資材の飼料安全法における取扱いについて

このことについて、別紙のとおり、関係団体の長宛て通知しましたので、御了知の上、 関係者に対する周知をお願いします。

本通知の概要はこちら

別紙
平素より、飼料安全行政にご理解・ご協力を賜り誠にありがとうございます。
 さて、農林水産省は、令和3年5月に「みどりの食料システム戦略」を策定し、その中で、牛のゲップ等由来の温室効果ガス(Green House Gas。以下「GHG」という。)を抑制する飼料の開発に取り組むこととしています。このため、今後、GHG削減効果があるとされる飼料原料又は飼料添加物(以下「GHG削減資材」という。)の普及が見込まれることから、今般、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(昭和28年法律第35号。以下「飼料安全法」という。)におけるGHG削減資材の取扱いについて、下記のとおり改めて整理しました。

1.GHG削減を目的として飼料に添加する資材の飼料添加物としての位置づけ及び評価基準
(1)GHG 削減を目的として飼料に添加する資材は、飼料安全法における「飼料添加物」(飼料の栄養成分その他の有効成分の補給の用途)に位置付ける(令和4年1月、農業資材審議会において了承。)。
(2)GHG削減を目的として飼料に添加する資材の飼料添加物の指定に係る農業資材審議会における審議は、令和4年9月に改正した「飼料添加物の評価基準の制定について」(平成4年3月16日付け4畜A第201号農林水産省畜産局長、水産庁長官通知)に基づく評価基準により行う。
2.GHG削減効果があるとされる資材の販売
GHG 削減を目的として販売する資材については、飼料安全法に基づく飼料添加物としての指定を受けなければならない。
3.GHG削減効果があるとされる資材の表示
GHG削減効果があるとして、飼料添加物としての指定を受けたものでなければ、GHG 削減効果を表示してはならない。
 なお、「飼料添加物」とは、飼料安全法第2条第3項において、特定の用途に供することを目的に飼料に添加等によって用いられるもので、農林水産大臣に指定されたものと規定されており、指定を受けていない資材を飼料添加物の効果を謳って販売することについては、従前から不適切として指導してきたところ。これは、飼料添加物の申請事業者に対する公平性・公正性の確保、優良誤認の回避等のためであり、飼料安全法第32条に基づく飼料品質表示基準(昭和51年農林省告示第760号)第2遵守事項において「内容物を誤認させるような文字、絵その他の表示」として禁止されており、GHG削減効果の表示についても、同様の考え方によることとする。
4.その他
(1)化学的合成品は、家畜用の飼料としての使用経験の少ない新規物質と考えられるものもあり、また有害な物質を含むものもありうることから、これまでも、飼料添加物として指定されるまでは販売を控えることとしてきたところ。このため、化学的合成品を用いたGHG削減資材についても、同様の取扱いとする。(「未指定品目の取扱い等について」(昭和55年11月25日付け55畜A第4625号農林水産省畜産局長通知)による。)。
(2)天然物質であっても、有害な物質を含む蓋然性が高いものについては、これまでも、農業資材審議会飼料分科会で審議の上、基準・規格の設定等の要否について検討を行うこととしてきたところ。このため、天然物質を用いたGHG削減資材についても、同様の取扱いとする。(「飼料の安全性評価基準及び評価手続の制定について」(平成20年5月19日付け20消安第597号農林水産省消費・安全局長通知)による。)
参考:GHG削減効果があるとされる資材の表示の可否の例(別表)
飼料又は飼料添加物を販売する際に、想定される表示の具体例及び可否については、別紙のとおりとし、特に次の点に留意すること。
1.「飼料原料」については、飼料添加物として指定されていないことから、そもそも生産性向上効果について評価されていない。したがって、生産性向上を標ぼうすることは「飼料が含有している栄養成分の有効な利用の促進」を用途とした飼料添加物と誤認させる可能性があることから、生産性向上効果を表示してはならない。(別表第1号)
2.アミノ酸を最適に添加・調整した飼料を用いて飼養することで、生産性が向上(飼料効率の改善)し、結果として、GHGが削減するということは、広く認知されている。このため、既に飼料添加物として指定されているアミノ酸について、「当該アミノ酸を添加して最適な配合設計の飼料で飼養することで、生産性向上(飼料効率の改善)が見込まれ、結果として、牛ゲップ中のメタンを削減できる。」と標ぼうしても差し支えない。(別表第2号の1)
3.GHG削減効果以外の効果について評価を受け、指定された飼料添加物に関しては、当該飼料添加物単体でGHG削減に効果があるというものではないことから、「当該飼料添加物を添加することで、牛のゲップ中のメタンを削減できる」という表示をしてはならない。(別表第2号の3、別表第3号)
別表

< GHG削減効果があるとされる資材の表示の可否の例 >

物質 表示例 可否
(理由)
飼料添加物の指定を受けていない物質(飼料原料) ①「この【物質】を添加することで、牛のゲップ中のメタンを削減できます。」 不可
(GHG削減効果については評価されていないため)
②「この【物質】を添加して最適な配合設計の飼料で飼養することで、生産性向上(飼料効率の改善)が見込まれ、結果として、牛ゲップ中のメタンを削減することができます。」 不可
(生産性向上については評価されていないため)
③「この【物質】を添加することで、生産性向上させる(飼料効率を改善する)ことができます。 不可
(生産性向上については評価されていないため)
2の1 「用途2」のアミノ酸として、飼料添加物の指定を受けた物質(例:リジン、メチオニン、ヒスチジンなど) ①「この【物質】を添加することで、牛のゲップ中のメタンを削減できます。」 不可
(直接GHG削減効果があることについて評価されていないため)
②「この【物質】を添加して最適な配合設計の飼料で飼養することで、生産性向上(飼料効率の改善)が見込まれ、結果として、牛ゲップ中のメタンを削減することができます。」
③「この【物質】を添加することで、生産性向上させる(飼料効率を改善する)ことができます。」 不可
(生産性向上については評価されていないため)
2の2 「用途2」のGHG削減資材として、飼料添加物の指定を受けた物質 ①「この【物質】を添加することで、牛のゲップ中のメタンを削減できます。」
②「この【物質】を添加して最適な配合設計の飼料で飼養することで、生産性向上(飼料効率の改善)が見込まれ、結果として、牛ゲップ中のメタンを削減することができます。 不可
(生産性向上についても評価されている場合に限って可)
③「この【物質】を添加することで、生産性向上させる(飼料効率を改善する)ことができます。 不可
(生産性向上については評価されていないため)
2の3 「用途2」のアミノ酸・GHG削減資材以外として、飼料添加物の指定を受けた物質(例:ビタミン、ミネラルなど) ①「この【物質】を添加することで、牛のゲップ中のメタンを削減できます。」 不可
(GHG削減効果については評価されていないため)
②「この【物質】を添加して最適な配合設計の飼料で飼養することで、生産性向上(飼料効率の改善)が見込まれ、結果として、牛ゲップ中のメタンを削減することができます。 不可
(生産性向上については評価されていないため)
③「この【物質】を添加することで、生産性向上させる(飼料効率を改善する)ことができます。 不可
(生産性向上については評価されていないため)
「用途3」として、飼料添加物の指定を受けた物質(酵素、着香料) ①「この【物質】を添加することで、牛のゲップ中のメタンを削減できます。」 不可
(GHG削減効果については評価されていないため)
②「この【物質】を添加して最適な配合設計の飼料で飼養することで、生産性向上(飼料効率の改善)が見込まれ、結果として、牛ゲップ中のメタンを削減することができます。
③「この【物質】を添加することで、生産性向上させる(飼料効率を改善する)ことができます。」
※ 飼料添加物の用途
用途1 飼料の品質の低下の防止
用途2 飼料の栄養成分その他の有効成分の補給
用途3 飼料が含有している栄養成分の有効な利用の促進

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